『妻に捧げた1778話』(眉村卓著)を読みました

職業観を思う著書

アメートーークで話題になっていたので、思わず購入してしまった本を読み終えました。
作家眉村卓さんの奥様が、癌を患ってから亡くなる日まで、毎日一話ずつショートショートを書き溜めたというものです。

病気を告知していない奥様に読んでもらうとなると、親族側の配慮は如何ばかりだったか…「作家」としての力量が大変問われたことだろうと想像します。
私のような素人が、そこを心配するのはどうかと思います。
けれど、看病する側の揺れ動く心情が作品に投影されないとは言い切れない。
しかも奥様に気に入って頂こうとすればするほど、乱れた心を整えながら書くという作業はパワーが必要だったと思います。

「作家としての覚悟」
ノンフィクションを書く方と、フィクションを書く方では気持ちの置き所が違うのだろうと思いますが、普段何気ない日常の中に作家活動があった頃と違い、看病をしながら一定のモチベーションと、一定のクオリティーを保つ…。本当に強い意志を感じます。

ショートショートは小気味良く書き連ねられており、私は楽しみました。
それが、「作家」なのだなと思わされました。

もし、フィクションとノンフィクションの中に自分を置いた時に、こういう行動ができるだろうかと深く職業観を考えさせられた著書です。

帯をどうみるか?

私は、帯に「15年ぶりに泣いた!」(実際にその番組を観ていた)と書かれていたのを見て、とりあえず大事な仕事の前日には読まないでおこうと決めていました。
眉村さんは、このショートショートを「文を読む力は、どこかに奥様の延命につながると信じての行動として選んだ」と公表しています。
出版する気がなかったけれど、世に出ても耐えうる内容にする、一日一話書く、奥様に気に入って頂くという目的で書いています。

私たちは、それを知っているから、感情移入して読んでしまいます。

帯のようなことが後半起こってくるかも知れない…

結論から言うと、泣きました。

想像していたのは、ワンワン泣く自分。
カズレーザーさんも声を上げて泣いたと仰っていたので…。

でもツーっと涙がこぼれました。私は眉村さん側でなく、奥様側に立って読んだのかも知れません。
奥様が天国でも、眉村さんのことを微笑ましく叱咤激励?している姿を思い浮かべたからかも…。

眉村さんが、出版に至った時、世間は色んなことを言うだろうということも承知の上だったと思います。「捧げる・・・」ていうタイトルとか「泣いた」っていう帯とか。

出版社の意図…そういうことを排除して、溢れんばかりの奥様への静かな愛が伝わったのだから、帯はこのままでいいなと私は思いました。

眉村さんは、自分に何もできない「あがき」としていましたが、私にはこれ以上にない愛情だと感じられました。

1778話目を読んだ時、じわり暖かい涙が流れた著書でした。

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